プエブラの会長問題とチェリス監督辞任

 数日前から話題になっていて、気にはなっていたんですが、サッカーそのものとはやや関係なかったので、あえて取り上げないで静観していた、プエブラの会長問題ですが、チェリス監督が今日の対プーマス戦のあとで辞任表明を行ったので、仕方ないですね、はぁ。


 プエブラは以前、株をちょうど半々に所有するらしいふたりの会長というかオーナーがいました。フランシスコ・ベルナットとリカルド・エナイネです。前のブログでも記事にしたような気がしますが、プエブラの選手たちとチェリス監督が給料未支払いに困っていたころ、このふたりは、どちらがその給料を支払うかで責任を押し付けあっていたようです。お金がないわけではなく、責任所在不明が問題だ、という話でした。
 その後、どういう経過かは知りませんが、エナイネのほうがクラブへの権利を放棄もしくは売却し、オーナーはベルナットひとりに絞られ、これにて一件落着、給料もちゃんと払いますよ〜、ということで、まあ実際にちゃんと払われていたのかどうかは知りませんが、その後ニュースになることもなかったと思います。


 そして最近、日本人選手、佐藤穣がプエブラと契約したのも話題になりましたよね。今はレンタルでラトビアのリーグに行っているそうですが、そこでさっそくゴールも決めて、順調に活躍しているようです。佐藤選手の将来にも関わってくることだろうから、プエブラの経営、うまく行ってほしいんですが。


 数日前、チェリス監督がそのツイッターでいきなり、ベルナット会長が逮捕されたと書きました。メキシコメディアがそれを追って取り上げ、何やら不正行為でメキシコシティに連行され、不正ってのが何なのかよくわかりませんが、告発された金額は確か、3000万ペソ(約430万円)。
 ここからが(ちゃんと読んだわけではないので、もしかしたらちゃんとした理由があるのかもしれませんが)よくわからない、陰謀の臭いプンプンじゃねえの? と思ってしまうところなんですが、このベルナットがぶち込まれた刑務所から出るために、所有していたプエブラの株51%をすべてエナイネに譲渡し、それを交換条件に釈放された(金曜の午前2時に)というんですね。
 えーと、不正行為が何だったのか知りませんが、なんで株を譲り渡すと釈放されるわけ??? そういうの、脅迫とかって言いませんか?
 ともかくこれにて、エナイネ(以前も完全に株を手放したわけではなく、50%の所有を減らして、ベルナットが最高株主=オーナーになっていたらしい)が、合計94.6%の株を所有し、文句なしの筆頭株主に。


 で、昨日の段階では、チェリス監督は慎重に、「明日の試合が第一。それが済んでから、月曜にでもクラブと話し合って今後を決める」と言っていました。
 チェリス監督はプエブラ一部リーグに復帰したときの功労監督で、それからすでに二度か三度、辞めると言ったり実際に辞めたりしてますが、そのたびにプエブラ市民ファンや選手たちの要望もあって、復活している、不思議なカリスマ監督です。そしてそれを承知しているのであろうエナイネも、少なくとも表向きは、このままチェリス監督の続投を望むと言っていたようです。
 が、今日の試合、日曜の昼12時に行われたプーマス戦は4−1でプエブラ敗戦。それはまあ大したことではないです。試合が終わって一時間も経たないうちに、チェリスが辞任を発表しました。
 理由は、エナイネの人間性に信頼が置けない。ベルナットに起こったのと同じことが自分にも起こりうる、そんな状況で仕事などできない、ということらしいです。チェリスは元からはっきり物を言う人で、そのツイッターでもいろいろ辛辣なコメントなどを残してますが、エナイネに対する不信感と嫌悪感が、クラブへの愛を上回ったと言っているようです。ツイッターでは、今のところ昨晩の書き込み(試合第一、そのあとで進退を決める云々)が最後になっています。あれ、ベルナットが逮捕された!っていうツイートも消えてるようです。
 チェリスの昨晩の書き込みに、ファンの皆さん、23人のトップチーム選手たち、育成チームの選手たち、レンタルに出している8人の選手たち(佐藤選手もここに含まれるわけですね)に対する責任がある、というようなことも書かれていますが、結局辞めざるを得なかったんでしょうね。
 

 さて、プエブラ、これからどうなっちゃうんでしょうか。
 エナイネが何を考えているのか、ファンがどう動くか、どこまで影響を及ぼせるか……。正直、チェリス監督のいないプエブラをまったくと言っていいほど知らないので、想像できないんですが。選手たちも黙って従うのかどうか。
 サッカー以外のところで、こんなふうに物事が動くのは、仕方のないこととはいえ悲しいですね。